連載 今月のニュース診断
「親学」という政治
加藤 秀一
1
1明治学院大学社会学部
pp.620-621
発行日 2007年7月25日
Published Date 2007/7/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665101049
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教育再生会議と「親学」
政府の教育再生会議は,さる4月25日,親に向けた子育て指針である「『親学』に関する緊急提言」の概要をまとめ,5月中旬に正式発表する予定だった。しかし政府内や委員から「国が国民に教育観を押し付けるかのような尊大な印象を与える」といった意見が噴出し,自民党文教族からも「参院選を前に女性層の反発を招く」との懸念が示されたため,発表は当面見送られたという(毎日新聞4月26日および5月11日)。
「親学」という新奇な言葉の起源は明らかではないが,近年それが目立つようになってきたのは,明星大学教授で親学会副会長の高橋史朗氏の活躍によるところが大きい。その高橋氏は4月17日の「規範意識・家族・地域教育再生分科会」に出席し,ヒヤリング対象者として意見を述べた(この会議の議事録はhttp://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouiku/2bunka/dai9/9gijiroku.pdf)。この会合での議論もふまえ,山谷えり子首相補佐官や池田守男座長代理らが概要をまとめたという。
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