世界の波
女性と政治
末松 滿
1
1朝日新聞
pp.35-36
発行日 1953年6月10日
Published Date 1953/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200530
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衆議院をめざして21名,参議院へは29名の女性が今回の選擧に立候補し,今や戰い終つて悲喜こもごものところだが,第1回の総選擧で衆議院へ29名の女性代議士が忽然と姿を現わした時のような賑わしさは見られない。あのときは初もの食いのもの珍らしさと,連記投票という制度のお蔭であんな結果をみたものらしく,第2回総選擧には15名,第3回は12名,第4回は9名というふうに,次第に女性代議士は影を薄くした。参議院も同樣,第1回の当選者は10名だつたのに,2回目は5名に減つている。
だが,女性議員を国会へ送りこむことが必ずしも女性の地位の向上を象徴することではない。女を大切にする點にかけては定評のあるアメリカでは,女性議員は上院にチエース・スミス女史ただ1人下院にも僅か9名しかいない。多いのはフランスの51名,最も多いのはソ連の277名だがソ連の場合は議員が1400人もいる上に,仕事といえば共産党幹部の作つた議案に拍手喝采するだけのことだから,女性代議士ことごとくが見識高いものだとは限らない。
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