特集 分娩監視装置をどう使っていますか?
Nelson論文の衝撃
武井 成夫
1
1大森赤十字病院
pp.942-944
発行日 2003年11月1日
Published Date 2003/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100988
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1960年後半から70年代に多くの産科施設が複数の分娩監視装置を備え,分娩中の胎児を監視するようになりました。その背景にあったものは,分娩監視装置を使用すれば分娩中の胎児低酸素状態を早期に見つけだし,神経学的ダメージを残す前の適切な時期に産科的な介入をすることができる,という仮説でした。しかしながら,どの研究も臨床的にこの仮説を実証したものはなかったのです。
E. Honが1958年に論文を発表してから約半世紀,我々産科に携わる者は胎児が分娩時に曝される低酸素状態とそれに伴う低酸素性アシドーシスを見つけだす方法を一旦はこの手にしたかに見えましたが,最近の研究の多くは我々が手にしたものは想像とはあまりに懸け離れたものであったことを明らかにしてきました。その中の記念碑的論文の1つがNelsonが1996年『ニューイングランドジャーナル』誌上に発表した論文でした(本誌 Vol.53 No.12に全訳あり)。
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