連載 バルナバクリニック発 ぶつぶつ通信・34
貧困層女性がお産から学んだ幸せ
冨田 江里子
1
1St. Barnabas Maternity Clinic
pp.80-81
発行日 2007年1月25日
Published Date 2007/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100941
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貧しさゆえにしてしまった初めての妊娠
クリニックも7年目になると2回,3回のかかわりを持つ産婦も多くなる。お産から貧困層の女性の生きざまが見える。
ジンジンの初産は6年前(16歳)で,微弱陣痛で3日もクリニックで寝泊りした。だらだらと長引く陣痛に,一言も文句を言わず黙って耐えた姿は強く印象に残っている。寡黙なジンジンに対して,母親は「損な子だよ」とため息交じりにジンジンのことを笑顔で話した。「相手は近所の高校生でね,何でやったのって聞いたら,食べたことがないコーラやハンバーガーを奢ってもらえることがうれしくってだって(関係を持つ=彼が高校を終えれば結婚して豊かな生活ができると考えた)。相手は結婚なんて考えてもいないのに……妊娠したら大喧嘩!」。事態が改善不能のとき,貧困の人々は笑って試練を受け止める。
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