連載 今月のニュース診断
家族の絆とはなにか―死後生殖・新生児取り違え・生体移植・代理出産
斎藤 有紀子
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1北里大学医学部医学原論研究部門
pp.1090-1091
発行日 2006年12月1日
Published Date 2006/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100905
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血縁がもつ意味
「血は水よりも濃い」という言葉がある。「血を分けたきょうだい」「肉親」などの言葉もある。遺伝子の存在など知らない頃から,私たちは「血」や「肉」を家族と共有,あるいは,分け合って生きていると表現してきた。一方で,「生みの親より育ての親」「遠い親戚より近くの他人」という言葉もある。血縁がなくても,養育の事実,地縁による絆に,少なからぬ意味があることも,私たちは知っている。
これらの言葉は,関係性をめぐって身の回りに起きることに説明をつけるための人間の“智恵”であり,また逆に,血縁か否かということが,私たちの判断に大きく影響し得ることを示唆してもいる。
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