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妊娠・出産・育児に対する女性の意識は低い?
私はありがたいことに,参加/交流型の出産準備クラス運営について,助産師のみなさんにワークショップや講演をする機会に恵まれることがあります。せっかくの機会なので,交流をしながら得る気づきや,学ぶ楽しさを体験していただきたいと願い,ワークショップをはじめると,まず「クラスをやっていくうえでの,お悩みを聞かせてください」と,参加者の皆さんにお願いをすることにしています。そのようなときに,よく耳にするのが,「妊婦さんから,どういうお産がしたいのか,なかなか希望がでてこない。意識が低くて……」という言葉です。「なるほど。希望が出ないと困ってしまいますね」と,お気持ちには共感しながらも,「本当に妊婦の意識は低いのだろうか?」との疑問を拭い去れない気持ちでいました。
女性のニーズは“ない”のではない
幸運にも2001~02年に,その疑問に答える「女性が求める妊娠・出産・産後のケアとは?」との研究課題を与えていただくことになりました*1。私はその巨大なテーマにめまいを感じながらも,妊婦の「意識」を調査する絶好の機会ではないかと感じました。リサーチクエスチョンを立てて,先行研究を基に自記式アンケートを作成し,全国層化抽出法により3311通を妊娠前半期の女性に,病産院や助産院をとおして手渡していただき(回収率46%),コホートを形成して妊娠中2回,産後2回の合計4回にわたって追った形(追跡率65%)での調査をさせていただきました。郵便配達の方と,すっかり顔なじみになるほど1年近く舞い込み続けてきたアンケートには,余白にびっしりと,また,なかには便箋をつけて妊娠やお産に関しての思いが書き綴られていました。
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