特集 女性の健康と地域保健
母性の健康からトータルな女性の健康への転換
芦野 由利子
1
1日本家族計画連盟事務局
pp.10-14
発行日 1998年1月10日
Published Date 1998/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662901710
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
要約
なぜいま「母性の健康」ではなく「トータルな女性の健康」なのか,「トータルな女性の健康」とは何か。この概念が女性の人権という視点から提唱されるようになったのは比較的近年のことである。カイロ会議(1994年),北京会議(1995年)以降はリプロダクティブ・ヘルス/ライツとして国際的にも認識されるようになったが,そこに至るには世界各地の女性運動があり,国連での努力があった。今後問われるのは,この概念をどう実現するかである。日本でも2000年に向けて「国内行動計画」がつくられたが,現行の法律や行政・社会制度との間にはまだ大きな溝がある。女と男の役割や性に対する伝統的意識,健康の概念などにも見直しが必要だ。保健婦は,「トータルな女性の健康」を実現する上でもっとも重要な役割を担う立場にある。本稿では,保健婦への一層の期待をこめて,将来に向けての提言も試みたい。
Copyright © 1998, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.