特集 理想の分娩第1期のケア
事例の場面を振り返る
①助産体験をわかちあう―分娩室の休憩室で
塩川 美奈子
1
,
中根 直子
1
1日本赤十字社医療センター
pp.762-767
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100813
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はじめに
分娩室は,毎日がドラマである。年間2,000余件の分娩を扱う当院では,教科書的にも希少な症例にあたることも珍しくない。自分では解決に苦慮するような症例で同僚がクリーンヒットを飛ばしたりするかと思えば,ベテランでも内野ゴロに倒れることもある。
昼休みに,あるいは勤務終了時に,休憩室でホッとした先輩たちから語られるナラティヴな日常体験は,私たちにとって貴重な疑似体験になってきた。「あのケースはどうしてそうなったんでしょう?」「なぜ,そうしたんですか?」。生きた症例に沿った生々しい語りは,若いスタッフたちの記憶の隅に蓄積される。そしてある日,ふと自分の目の前の産婦に重ね合わせて考えていることに気づくのだ。
そんな体験談を,ふたつ紹介してみたい。
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