特集 理想の分娩第1期のケア
事例の場面を振り返る
②正常出産へ導く助産院でのケア法―遷延分娩に焦点をあてて
松崎 政代
1
,
矢島 床子
1
1矢島助産院
pp.768-773
発行日 2004年9月1日
Published Date 2004/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100814
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はじめに
当助産院で出産される方の人数は毎年増加傾向にある(図)。その中でも,矢島助産院の位置する国分寺市在住の方で助産院で分娩する割合は6%にまで増加している。日本全国では,助産院・自宅出産の出産割合は,戦後20年で激減し,そのほとんどが施設分娩に移行した。現在では,自宅出産・助産院出産は全国平均約1%程度である。それに対して,国分寺市での助産院出産割合が6%という数字はわずかではあるが,地域に根ざした助産活動が認められ,また,核家族化の中で実家のような助産院の存在と,いつでも自分たちを受け入れてくれる助産婦の存在を,お母さんたちが求めている結果なのではないかと考える。
このように分娩数が増加する中で,産婦や家族に対し,いつでも安心して気持ちよく安全な出産を提供したいと考えるが,助産婦(11名)の数を増加させても,一定の割合で搬送ケース(図)や,異常に移行しないまでも分娩時間が長くかかるケースが存在する。助産院で出産し,産後も助産院で赤ちゃんと過ごしたいというお母さんの願いを叶えるためにも,助産院の助産婦は,助産ケアを駆使して妊娠中から継続したケアで分娩介助に臨んでいる。
今回,私・松崎が矢島助産院で勤務した約3年間に体験し観察した,助産婦・矢島床子の行なう分娩時の判断とケア,助産院の活動の一部について,多くの事例から振り返り考察する。
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