特集 「技術教育」のあり方を考える
コラム
―臨床教育の現場①―医師―医師の臨床実習教育について
前野 哲博
1
1筑波大学臨床医学系
pp.203
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100684
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近年,高齢化や生活習慣病の増加,医療費の高騰,患者意識の変化など,医療を取り巻く環境は大きく変化している。それを背景として医師養成についてのニーズも大きく変わり,教育の中心は学問分野としての医学を学習することから全人的医療を実践する医療人としての養成にシフトしている。さらに,これまで体系的な教育が行なわれてこなかった技能・態度についての教育(例:コミュニケーション教育など)がクローズアップされるようになり,単純にペーパーテストで暗記した知識量を評価する形式から,ある問題に直面した時にその時点で必要な情報を自ら収集して問題解決ができるような,より実践的な能力を習得することが重視されるようになってきている。
このような流れの中で,医学生の臨床実習も大きく変わってきている。これまでは医師の診療を後ろで見学するというスタイルが一般的であったが,近年,学生も診療チームの一員として診療に参加し,その中で主体的に臨床能力を習得する,クリニカル・クラークシップの導入が進んでいる。テレビドラマの「ER」でも,学生が患者の診察や処置をしているシーンをご覧になった方も多いと思うが,このような実習形式は,技能の習得に有用であるのはもちろんのこと,患者との実際のコミュニケーションや,医療チームのスタッフの1人としての役割も要求されるため,上述の態度・技能教育に対する教育効果も高い。
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