連載 とらうべ
地域の母子保健活動の現場から,助産師さんへ
岡本 千草
1
1保健師
pp.187
発行日 2004年3月1日
Published Date 2004/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100680
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- 文献概要
私は都内の保健所に勤務する保健師です。地域での母子保健活動を通じて出会う多くの妊産婦さんの声を聞きながら,助産師さんの仕事を日々見つめています。病産院の中にいなくても,助産師さんのがんばりはわかるのです。
たとえば私たちの3~4か月健診では,その時点での赤ちゃんの栄養状態を尋ねる項目があります。長年尋ねていると「母乳栄養を続けている」と聞いただけで,出産場所の見当がおおよそつくようになりました。ためしに出産した病産院と3~4か月時点での母乳栄養率を照合してみたところ,分かったことは管内の「赤ちゃんにやさしい病院」や隣接区の産科専門病院で出産したお母さん方は,その他の病産院で出産したお母さん方より,健診時まで母乳栄養を続けている率が高いということでした。母乳育児を推進する病産院で出産した新生児訪問の際には,産後のお母さん方にどのようなアドバイスがされたか,私は注意深く尋ねるようになりました。というのも,そういう病産院の助産師さんは,産婦さん全員に画一的な助言をせず,1人ひとりの心身の状態にそった助言をしていることも分かってきたので,それにあわせて私も相談を受けていかなければならないと考えるようになったからです。
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