特集 妊娠期の新・臨床栄養―成人病は胎児期につくられるか
妊娠中のカルシウム摂取に対する考え方
福岡 秀興
1
,
春名 めぐみ
2
,
向井 伸治
3
1東京大学大学院医学系研究科国際生物医科学
2東京大学大学院医学系研究科母性看護学
3国立療養所大島清松園
pp.758-761
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100591
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はじめに
エストロゲンは女性骨代謝の中心物質で,骨を増加・保護すると考えられている。妊娠中はエストロゲンが増加すると共に,非妊時とは異なった骨代謝動態にあって骨量が短時間で大きく変動する時期でもある。将来の骨粗鬆症発症の予防を考慮に入れ,妊娠中にカルシウム(Ca)を多く摂取すべきか否かについてはなお結論が出ておらず,日本では「多く摂るべきである」,外国では「多く摂るべきでない」と,議論が重ねられている。第6次改定栄養所要量策定指針では,非妊娠時のカルシウム所要量は600mgで,妊婦,授乳婦は900mg,1,100mgと決められている。本稿ではこの現状を踏まえてカルシウム摂取について考えてみたい。
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