特集 妊娠期の新・臨床栄養―成人病は胎児期につくられるか
個別化した栄養指導の必要性
真崎 ゆかり
1
1深谷赤十字病院
pp.744-748
発行日 2003年9月1日
Published Date 2003/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100588
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はじめに
「飽食の時代」と言われ続ける中,食生活と密接な関連のある生活習慣病が大きくクローズアップされ,今や人々の健康への関心は高まる傾向にあります。これは一昔前のテレビで取り上げられたグルメ情報番組から「健康に関する食情報」が数多く取り上げられていることからもうかがい知ることができます。こういった中で,私達が日々接する妊産婦の中にも,食に対する高い知識を持った人達が多く見受けられるようになりました。
しかし他方では,「外食」「加工食品」といった手軽に利用できる食が生活の中に入り込むことが習慣化し,妊娠中に望ましい食生活より逸脱している妊産婦もおります。
このような中で通常,妊婦に対する栄養指導の多くは,母親学級などによる集団指導や,必要に応じ医師や助産師による治療的側面からの指導が主なものですが,時間的制約もあり,知識が豊富な妊婦と知識不足の妊婦の両極端な対象者に対して,実践に即した指導は難しいのが現状です。
そこで,当院では平成3年より各職種の業務分担を明らかにし,栄養指導に関しては,専任栄養士5名(うち1名休職中)で行なうことになりました。内容は,分娩予約した全妊産婦を対象とし,妊娠初期に個別指導を行ない,さらに妊婦が記録した食事内容を添削し,フィードバックしています。
平成11年に今までを振り返り,今後の栄養指導に役立てることを目的に妊婦の意識調査を実施したところ,個別指導による意識変化が顕著にみられ,その重要性を再認識しました。今回当院の個別指導を紹介するとともに,意識調査もあわせて報告します。
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