特集 高齢者介護と公的介護保険
公的介護保険をめぐる諸問題
二木 立
1
1日本福祉大学
pp.680-683
発行日 1995年10月15日
Published Date 1995/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901353
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はじめに
小論ではまず,公的介護保険構想に対する筆者の2つの賛同点を示す.次に,公的介護保険構想の「3つの問題点」(1つの不透明と2つの不公正)を提起する.最後に,公的介護保険を少しでもマシな制度にするための「5つの提案」を行う.これは,社会保険方式の弊害を軽減し,社会的に一番弱い人々が不利な扱いを受けないよう,「国民誰もが,身近に,必要な介護サービスがスムーズに手に入れられるようなシステム」をつくるための提案である.
なお,この「国民誰もが…」は,昨年12月に発表された高齢者介護・自立支援システム研究会(座長:大森彌氏.以下大森研究会と略す)の報告書「新たな高齢者介護システムの構築を目指して」の「はじめに」に書かれているステキな表現である1).ただし,このような「普遍主義」的な言葉が出てくるのは,報告書のこの1カ所だけで,ほかでは,つねに「高齢者」介護システムという言葉が使われている.この点は後述する第2の問題点(障害者排除は不公正)とかかわる.
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