今月の臨床 生殖医療とバイオエシックス
体外受精
6.法的規制 1)諸外国の状況
橳島 次郎
1
1三菱化学生命科学研究所社会生命科学研究室
pp.1044-1046
発行日 1999年8月10日
Published Date 1999/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409903739
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総論
1978年にイギリスで世界初の体外受精児が誕生して以後,1980年代に入ってヨーロッパ主要国で生殖補助医療の法的規制の検討が始まった.1984年にはイギリス,1985年にはドイツ,1988年にはフランスで,のちの立法の基礎になる政府委員会報告書が出され,それと前後して専門医師団体の取り組みも進んだ.その結果1990年代には各国で立法が実現した.最新の例では,1997年6月にデンマークが医療・研究にわたる包括的な規制法を制定している.規制の内容は国による違いが大きく,ドイツ語圏諸国のように厳しい禁止的規制をとる国もあれば,イギリスのように行政機関の審査に委ねる比較的リベラルな規制の国もある.フランスや北欧諸国などはその中間で,条件付けを狭くして慎重な規制を敷いている.
これに対してアメリカ合衆国では連邦レベルの法的規制は,施設ごとの成績情報開示を求める法律と胚の研究利用を禁じる毎年の予算法があるだけで,臨床の規制は各州法と裁判所の判断に委ねられており,事実上無規制の状態にある.
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