特別寄稿
臨床から助産師教育に望むこと―琵琶湖発のメッセージ:大学卒後に1年の教育を
松田 スミ子
1,2
,
大槻 知子
3,4
,
渕元 純子
1,3,5
1滋賀県看護協会
2滋賀医科大学医学部附属病院
3日本助産師会滋賀県支部
4特定医療法人社団御上会野洲病院
5ふちもと助産院
pp.329-333
発行日 2003年4月1日
Published Date 2003/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100506
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はじめに
日本看護協会助産師職能委員会では数年にわたって「助産基礎教育に関する教育上の課題と今後の方向性に関する検討」というテーマについて議論してきている。筆者のひとり松田はこのことを全国の職能委員長会議に出席して初めて知った。全国の職能委員長会議に出席する回数が増えるにつれ,助産専門学校の閉鎖,大学4年生教育の選択課程における助産基礎教育が主流となってきているなかで,全般的に卒業生数が減少し,国家試験の合格者数も減っていることを知った。
基礎教育についての議論は,日本看護協会にとどまらず助産師教育機関,ならびに他団体との協議もなされてきている。また『助産雑誌』『助産師』の誌面上でも助産教育に関していろいろな立場の先生方のご意見が発表されている。このような助産基礎教育についての議論があちらこちらで起きていることは知ってはいたが,臨床の場においては客観的な立場で傍観してきてしまった。
しかし,こうした現状は,毎年数人の助産師の退職者を出し新人を募集する側にいる者として危機感を覚えざるを得なくなってきた。サービスの受け手である妊産褥婦が満足できる助産師の基礎教育とはどのようであって欲しいのか,筆者らはいろいろな立場で助産活動を行なっている滋賀県下の実践家と話し合う機会を得て,教育に対し有意義な意見を得たので本稿で紹介したいと思う。
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