連載 今月のニュース診断
子供の虐待・殺害への社会的対応をめぐる異見
加藤 秀一
1
1明治学院大学社会学部社会学・性現象論
pp.182-183
発行日 2003年3月1日
Published Date 2003/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100477
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相次ぐ幼児虐待
宗教団体ラエリアン・ムーブメントが,ついにクローン人間を誕生させたと宣言して話題になっている。まだその真否はわからないし(永久にわからないかもしれない),クローンの話題ばかりを扱っているわけにもいかないので,これについてはまた時間をおいて考えてみたい。ただひとつだけ,ちょっと投げやりかもしれないが,ぼくはこんな風に考えることがある。クローン人間づくりにはさまざまな問題性が確かにあるが,最終的に重要なのは生まれた子供たちがそれなりに幸せになれるかどうかであり,人間の尊厳だの社会の多様性だのといった問題は二の次であろうと。
その意味では,いままさに暴力に曝され,時には殺されている,クローンではない子供たちをどう助けるかのほうが,はるかに重大な問題であることは言うまでもない。
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