Japanese
English
研究と報告
「幼児奇胎妄想」から実子を殺害した精神分裂病者の1例—民俗精神医学的考察
A Case of Schizophrenic Infanticide by Reason of Delusion of Infantile Molar Pregnancy: Some considerations in terms of folkloristic psychiatry
滝口 直彦
1
,
小田 晋
2
,
佐藤 親次
2
,
妹尾 栄一
3
Naohiko Takiguchi
1
,
Susumu Oda
2
,
Shinji Sato
2
,
Eiichi Seno
3
1八王子医療刑務所
2筑波大学社会医学系
3東京都精神医学総合研究所
1Hachioji Medical Prison
2Institute of Social Medicine, Tsukuba University
3Psychiatric Research Institute of Tokyo
キーワード:
Schizophrenia
,
Delusion
,
Crime
,
Infanticide
,
Folkloristic psychiatry
Keyword:
Schizophrenia
,
Delusion
,
Crime
,
Infanticide
,
Folkloristic psychiatry
pp.185-190
発行日 1991年2月15日
Published Date 1991/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405903002
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
【抄録】 「5歳の長女が妊娠し,長女は出産により死亡し,生まれてくる子供も奇怪異様な子供である」という妄想に基づいて実子殺を行った1症例を報告した。我々は,その妄想を幼児奇胎妄想と命名し,民俗精神医学的見地から,本妄想の成立の機転について考察した。その結果,一見きわめて奇異で正常者の心性とは隔絶されているように思われる本妄想が,日本人が普遍的に持っている古層心性とかなりの共通点を持つこと,しかしながらやはり,分裂病という事態によって歪曲が施されて古層心性が表出していることが明らかになった。そして,民俗精神医学的見地からの妄想研究が有益なものであることが示唆された。
Copyright © 1991, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.