特集 精神疾患をもつ女性の周産期ケア
妊産褥婦の抱える精神的問題のスクリーニング―その方法と実践
山下 春江
1
,
島ノ江 栄子
1
,
佐藤 昌司
1
,
吉田 敬子
2
,
中野 仁雄
3
1九州大学医学部附属病院周産母子センター
2九州大学医学部附属病院精神科神経科
3九州大学大学院医学研究院生殖病態生理学
pp.106-112
発行日 2003年2月1日
Published Date 2003/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100462
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はじめに
周産期は,女性のライフサイクルにおいて,メンタルヘルスのハイリスク期と考えられている。多くの研究で,妊婦の約16%が妊娠中にうつ状態になり,また,産後にも約10%の女性がうつ状態になると報告されている。母親の産後うつ病などの精神障害は,児の情緒や発達および配偶者にも影響を及ぼすことがわかっている。しかし産後うつ病は,褥婦自身や家族からだけでなく,医療スタッフからも見逃されることが多い疾患である。産後うつ病対策の第一歩は,医療スタッフが周産期の精神障害について正しく認識することから始まる。特に妊産褥婦と最も接する機会が多く,かかわりも直接的な助産師が妊産褥婦の精神面支援で果たす役割は重要と考えられる。
本稿では,九州大学医学部附属病院での妊産褥婦へのメンタルヘルスサービスの紹介と,女性のメンタルヘルスにかかわる助産師の役割について考えてみる。
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