特集 海外を通して見る,日本の産科の医療安全
各国からの報告
⑤ドイツ―教育と患者の権利を基盤とした医療安全
森 昌代
1
1出張専門 森助産院
pp.600-605
発行日 2006年7月1日
Published Date 2006/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100359
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ドイツの医療安全の取り組み
今回,分担研究の機会をいただき,ドイツの周産期ケアシステムを中心とした医療安全について調査した。その結果,医療安全対策のうえで,医療社会の質の維持向上,医療従事者の教育の充実,コミュニケーションの改善を重要視していることがわかった。
医療安全を図るためのリスクマネージメントは,ドイツでも今まさに最重要課題であり,どの分野でも取り組んでいるところであった。連邦としての一貫した苦情処理ルートなどは確立されていないものの,苦情相談はさまざまな窓口で受け付けている(表1)。また,医療社会の質をコントロールする方法についても第三者機関による評価を実施しているところが多い。これらは強制的なものではないが,皆積極的に統計評価を公表したいと考えていることが特徴的であった。
ドイツは医学研究や,助産師において独自の長い歴史と伝統を持っている。安全対策についても独自の方法で対策を講じている姿勢は学ぶところが多い。今回は,その一部を紹介したいと思う。
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