連載 臨床発ケーススタディ 乳房トラブルはこうしてなおそう・2
乳頭亀裂① 出産後早期
相川 公代
1
1オケタニ母乳育児相談室東京
pp.771-775
発行日 2005年8月1日
Published Date 2005/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100265
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はじめに
私は,東京都内にある桶谷式の母乳育児相談室に勤務している。ここは桶谷式の認定者5人が勤務しており,桶谷式乳房手技の提供と母乳育児の援助を行なっている。相談室には,1年間に約700~800人,延べ人数6,500~7,000人の母親が訪れる。来所の主訴として一番多いのは,乳腺炎などの乳房トラブル(約40%)である。次いで母乳育児の希望(約30%),母乳分泌不足(約20%),断乳(約10%)と続く。乳頭トラブルは,全来所者中の約6~8%と少ないが,出産後早期に訪れる母親のなかには,乳頭痛を訴えて来所する者が多い。
乳頭痛のなかには,乳頭に亀裂や損傷が起こっている場合がある。乳頭亀裂で深部まで創傷となっている場合の解決方法の1つとして,最近,海外の文献のなかに,保湿治療の目的でハイドロジェル・ドレッシング材(Hydrojel dressings)を用いたケアの効果について報告されたものがみられる1)。私は,乳頭亀裂が真皮まで達していると思われる数例のケースに,これを使用してみた。今回は,出産後早期に乳頭亀裂を起こしたケースの使用例について報告する。
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