連載 周産期の母子の看護
心理社会的アプローチ・7
出産後の褥婦を脅かすもの
和田 サヨ子
1
,
新道 幸恵
2
1聖母女子短期大学
2国立公衆衛生院衛生看護学部
pp.888-891
発行日 1986年10月25日
Published Date 1986/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611206980
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児に対する褥婦のわだがまり
前回と前々回では,重要他者としての助産婦の役割,分娩期および産褥早期における産・褥婦の理解と援助について考えてきた。今回は,出産直後に褥婦が児を認知したときの反応,褥婦の身体的変化や夫への対応,そして出産後の家事など出産に伴って褥婦を脅かすものについて考えてみたい。
前号では,陣痛や分娩をあらかじめ想像していなかったため,すなわち,妊娠中に予期的心配をしなかったために,予想と現実の不一致を体験した産・褥婦の反応を紹介した。褥婦は,その他にも,児に関する期待や不安,身体の変化,夫との関係,出産後の家事の変化などに対してさまざまな反応を示す。私たち助産婦は,褥婦が,「母親らしさ」をスムーズに身につけられるよう援助するためにも,出産の周辺で起こる褥婦の葛藤の原因やそれに対する褥婦の反応を理解する必要があろう。
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