調査
外国人妊産婦に対する産科病棟の対応
新井 香里
1
,
佐々木(乙丸) 晶世
2
,
佐藤 千史
2
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科看護学
2東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科健康情報分析学
pp.355-360
発行日 2006年4月1日
Published Date 2006/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100094
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はじめに
現在の日本における外国人登録者数は年々増加し1),それに伴い国際結婚率や外国人夫婦から生まれる子どもの出生率が増加している2,3)。多言語で医療情報の提供を行なうNPO団体の「AMDA国際情報センター」への電話相談としては,産婦人科に関する相談が最も多く,特にブラジル人からの相談が多い4)。実際,ブラジル人登録者数の多い愛知県小牧市では,近年日本で出産する日系ブラジル人が増加傾向にある5,6)といわれている。
これらより,ブラジル人をはじめとした外国人妊産婦が日本で出産する際,適切な対応の可能な病院の充実が求められる。しかし,外国人への医療提供に関するこれまでの研究は,限られた地域・病院内で行なわれたものが多く,全国的に調査されたものや産科のみに焦点を当てたものはほとんどない。さらに,言語や文化の差などの理由から日本で満足した出産ができていない外国人妊産婦が多い3,4,7,8)と報告されている一方で,外国人妊産婦への対応について病院を対象に調査されたものは少ない。
そこで本研究では,全国の産科病棟における外国人妊産婦の出産状況とその問題点,外国人妊産婦に対する病棟の対応について実態調査し,今後の示唆を得ることを目的とした。
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