特集 障害のある子どもの母親を支える
助産師が考える支援とは
島田 智織
1
1茨城県立医療大学
pp.210-213
発行日 2006年3月1日
Published Date 2006/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100062
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はじめに
近年,「障害」ということの概念自体が大きく変わろうとしています。2001年にWHOで採択された国際生活機能分類(ICF;International Classification of Functioning,Disability and Health)1)では,従来の国際障害分類(ICIDH;International Classification of Impairments,Disabilities and Handicaps)で用いられていたような,障害を個人に固定するような表現は用いられていません。「環境因子」を評価に加えたことによって,障害を持つ人の機能と周囲の環境との関係性のなかに活動可能性を捉えていくことを目指しているのです。これにより,障害者と健常者という二項分類的な捉え方をのりこえ,「生活者」という共通な人間像による地続きの視点を提供することが可能となりました。新分類の実現に際しては,障害を持つ人々と専門職とが数年にわたる対話を重ねたということです。
さて,助産師であるならば必ずといってよいほどに,障害を持つ児の誕生にかかわった経験があるでしょう。障害を持つ児や母親,家族に,もっとも早い時期に接する専門職が助産師です。その時に,私たち助産師は,どのようなケアを提供することができるのでしょう。本稿では,ICFにならって,「障害児」と母親を特別な存在としない支援の視点を述べると共に,母親と児を支える1人ひとりの助産師の葛藤を乗り越えつつケアを提供する助産チームのあり方について考えてみたいと思います。
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