インターホン
家庭と仕事を背負って
河㟢 秀子
1
1国立呉病院産婦人科病棟
pp.659
発行日 1977年10月25日
Published Date 1977/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611205292
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梅雨は大嫌いな季節である。2人の子供のうち,ひとりを背負って,ひとりの手を引いて,雨の中をトボトボと院内保育所まで行かなければならない。背負った子供は12.5kgもある男児であるから,約10分の道程ではあっても肩にくい込んで,それだけでもう1日中働いたような気分になる。あと1年,あと1年すれば楽になるだろうと,そればかりを願って,もう3年が来ようとしている。2歳9か月の女児と1歳7か月の男児,2人の子供に恵まれたが,仕事をやめることはできなかった。家庭との両立で苦労も多かったが,姑がいたからこそやって来られたのだと思う。
職業婦人として生きるのは,周囲へもずいぶん迷惑をかけるが,それが自分にとって生きがいの1つであるなら,人のために役に立っているのなら,周囲も暖かく見守ってくれるだろうと自己弁護しているが,時には疲労のため些細なことでグチを言ってしまい,苦い思いをすることがある。
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