連載 新生児ケアの不思議考証 Evidence & Narrative Based Neonatal Care
第10回 臍処置
横尾 京子
1
1広島大学大学院保健学研究科
pp.78-81
発行日 2005年1月1日
Published Date 2005/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1665100016
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
臍帯処置セットを製造販売している株式会社竹虎から,以下の内容の問い合わせがあった。「新生児の臍処置にサリチル・ミョウバン散や亜鉛華澱粉などの乾燥剤を使用する医療機関は,『感染の温床になる』『乾燥剤を使用せずとも問題ない』という理由で,少なくなってきている。乾燥剤の有効性については,弊社でも臍帯処置セットを製造販売している関係上,重要な案件である。乾燥剤は不要というevidenceがあれば伺いたい」。少しばかり,意表をつかれた。
臍処置に乾燥剤を用いない臨床での経験しかもたない私は,乾燥剤不要の立場であり,「臍帯処置セットなるものが製造販売されている限り,乾燥剤は使われていくのだろうなぁ」というような諦めに近い気持ちをもっていた。それゆえ,製造販売元が検討したいという姿勢に驚いたのである。
臍処置は,今も昔も変わらず,乾燥と消毒による感染予防と早期脱落が主目的とされている1~2)。この問い合わせを契機に,臍処置における乾燥剤の使用について検討してみた。
Copyright © 2005, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.