連載 成果につながる保健指導 対象を読み解く病態理解とアセスメント・6
メタボリックシンドロームの保健指導—必要な病態理解とアセスメント
野口 緑
1
1大阪大学大学院医学系研究科公衆衛生学
pp.541-548
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664202127
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メタボリックシンドロームをターゲットにしている本当の目的
●第一の目的は心血管病の予防
メタボリックシンドロームという概念が確立したのはそれほど古くなく、今から20年ほど前になります。当時すでに、LDLコレステロールが動脈硬化を進める重要なリスクファクター(危険因子)であるというコンセンサスは世界的にも得られ、治療方法が確立されていました。そのような中、高コレステロールとは異なるメカニズムで動脈硬化性疾患の発症に関連する病態としての「内臓脂肪蓄積を伴うマルチプルリスクファクター症候群」に関する議論が、欧米ならびに日本の研究成果をもとに進み、メタボリックシンドロームの概念が確立されました1)。
わが国でメタボリックシンドロームを疾患として提起した最初のステートメント(声明)が、2005(平成17)年に内科系8学会によって示された「メタボリックシンドロームの定義と診断基準」2)(以下、「定義と診断基準」)です。ここにはメタボリックシンドロームを疾患概念として確立する目的について、「飽食と運動不足によって生じる過栄養を基盤に、益々増加してきた心血管病に対して効率の良い予防対策を確立することである」とし、「したがって、メタボリックシンドロームの第一の臨床的帰結(Clinical outcome)は心血管病であり、心血管病予防のために行う」と記されています。
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