調査報告
1歳6か月児健康診査からの早期スクリーニング—渋川市におけるSocial Attention and Communication Surveillance-Japan(SACS-J)の有効性とカットオフ値の検討
奥泉 庸子
1
,
上田 由香
2
,
奥野 みどり
3
,
毛塚 恵美子
4
1渋川市育都推進部健康増進課(渋川市保健センター)
2渋川市育都推進部こども支援課
3群馬パース大学
4群馬県立女子大学
pp.507-513
発行日 2024年12月10日
Published Date 2024/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664202122
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はじめに
群馬県渋川市(以下、本市)は、日本そして群馬県のほぼ中央部、雄大な関東平野が始まるところに位置しており、2006(平成18)年2月に1市1町4村が合併し現在の市となった。人口は7万3671人(2023〔令和5〕年3月末現在)、出生数は363人(2022〔令和4〕年度)である。
本市では、母子保健事業を実施する中で発達支援が必要な子どもの増加が課題となり、2015(平成27)年に有識者をアドバイザーとして「発達障害の早期発見と支援体制づくり検討会議」を立ち上げた。そこでの協議を経て、2016(平成29)年度から乳幼児健康診査(以下、健診)に行動観察による発達障害のスクリーニングツール「Social Attention and Communication Surveillance-Japan(SACS-J)」を取り入れた。
SACS-Jは、オーストラリアのヴィクトリア州で行われているSocial Attention and Communication Surveillance(SACS)の日本版である。SACSはヴィクトリア州の母子保健サービスの場で、2歳までの複数回にわたる継続的なモニタリングにより、自閉症を早期に発見するための試みである。日本の乳幼児健診のほとんどが集団健診で実施されている1)ため、SACS-Jはそれに合うように改変されている2)。今回、1歳児から2歳児にわたる継続的なSACS-Jを実施したことにより、早期スクリーニングの有効性が示されたため報告する。
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