調査報告
COVID-19パンデミック禍の各フェーズにおいて保健所保健師たちが経験した苦悩と奮闘—全国質問紙調査の記述分析から
宮﨑 星
1
,
大宮 朋子
2
1茨城県保健医療部健康推進課(調査時:筑波大学人間総合科学研究群看護科学学位プログラム博士前期課程2年)
2筑波大学医学医療系
pp.222-228
発行日 2024年6月10日
Published Date 2024/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664202064
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緒言
2020(令和2)年以降、COVID-19への対応に当たる保健所は、相談業務、医療資源の分配調整、積極的疫学調査、陽性者の健康観察、地域の医療システムの構築など多様な業務を担ってきた1,2)。これまで、国内の健康危機に対応してきた保健師たちが、大きな精神的、身体的影響を受けてきたことは明らかにされている。例えば、2009(平成21)年に発生した水害に対応した保健師たちは、住民からの不満や怒り、理不尽な要求を経験し、自らの保健師としての役割を果たせない葛藤を抱えた3)。2011(平成23)年の東日本大震災へ派遣された保健師たちの約7割が、不眠や疲労感、フラッシュバックといった精神的、身体的症状を経験した4)。
今回のCOVID-19パンデミック禍においては、初期に保健所が帰国者接触者相談センターとして機能を果たす中で、住民の不安や怒りへの対応、PCR検査の要否の判断などに対し、保健師が強い困難感を抱いていたことが既に明らかになっている5,6)。
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