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緒言
わが国では高齢化に伴い,軽度要介護認定者(要支援1・2〜要介護1の者)の2000年4月から2017年4月までの伸び率が3.59倍と中重度要介護者に比べて最も大きい1)。これに対し,2006(平成18)年の介護保険法改正以来,介護予防事業が推進されてきているが,その主流は,運動機能や認知機能の低下予防のための機能訓練である。
近年では,社会的交流を目的とした地域サロン活動が介護予防の場として期待されている。なぜならば,高齢者が地域の中に生きがい・役割を持てる居場所を提供することにより,介護予防が真に功を奏する2)からである。
一般的に,男性は女性よりも課題や目的が明確な活動を好む“課題志向型”といわれている3)。男性は現役時代に居住地域と離れて就労していることが多いため,退職後は地域との関係が希薄になりやすい,退職時にこれまでの人間関係を喪失する背景があり,孤立しやすい4)。こうした特性により,男性高齢者の地域サロンにおける参加率は15.6%と低い5)。
男性高齢者の介護予防事業への参加継続には,活動への満足感と他の参加者とのつながりが影響しているとされている6)。しかし,男性高齢者の地域サロンへの参加状況と地域ネットワークとの関連について定量的に示した報告は見られない。
本報告では,地域サロンへの参加については活動満足感と参加の頻度で捉え,地域ネットワークを社会的交流と地域への関心を意味する地域コミットメントで捉えた上で,男性高齢者の地域サロンへの参加と地域ネットワークとの関連の特徴について,同じサロンに通う女性高齢者と比較し,明らかにすることを目的とした(図1)。なお,一般的な地域サロンでは男性高齢者の参加は少なく,男性の特徴を分析することは難しいため,男性高齢者の参加率が高いサロンをフィールドとした。
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