連載 地域・職域の健康課題の見える化と効果的な保健事業・4
—【保健施策の例】—データヘルス計画におけるフレイル対策
佐藤 果苗
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1広島大学大学院医歯薬保健学研究科成人看護開発学
pp.1058-1065
発行日 2018年12月10日
Published Date 2018/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664201081
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はじめに
高齢者数のピークを迎える2025年に向け,「地域包括ケアシステム」の構築を目指し,具体的な取り組みがなされている昨今,フレイルという言葉がよく聞かれるようになりました。このフレイルという言葉は,要介護状態の手前にある高齢者を表すと認識されています。
では,地域包括ケアシステムの中で,このフレイル高齢者にどのように介入していくことができるでしょうか。現状では,医療と介護の連携が十分にできているとは言えず,そのサービスにすらつながっていないフレイル高齢者も少なくありません。これには,医療の視点をプラスした介護予防を推進する地域づくりが必要で,ここに保健師・看護師は力を発揮できると考えます。
そこでわれわれの研究室では,フレイル高齢者に対し早期に介入して介護状態を防ぐ,すなわち健康寿命を延ばすことを目的として,「地域包括ケアシステムの中に入り込み,高齢者を適切な医療・介護サービスに結び付ける」という研究事業を自治体および企業と共同で実施しました。
連載第4回目となる本稿では,まずフレイルの定義などについて振り返り,共同研究事業として実施した「地域住民を対象としたフレイル対策」をご紹介します。
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