連載 統括保健師の日々・23
—京都府の場合③【最終回】—地域の課題解決に向けた人材育成と施策策定のための取り組み
千葉 圭子
1
1京都府健康福祉部
pp.59
発行日 2018年1月10日
Published Date 2018/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200855
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今日,地域住民が抱える生活上の課題は複雑多岐にわたり,高齢者や障害者の介護・生活支援,育児の不安等,複合的な問題を持つ世帯が増えています。
保健師は,本来,個人の抱える健康上の問題から家族・地域集団の健康課題を把握し,または集団から個人の健康課題を把握して原因を診断し,解決のための事業政策を行います。また,個人や家族に対しては,看護の知識や技術を提供し,社会資源を活用して保健・医療・福祉・経済等の生活上の問題に対してまるごと支援していくことを業とする職種です。しかし,現在は健康づくり,母子,高齢者,介護,福祉等の業務が分担制になり,縦割り業務の中で個人や家族をまるごと見て,そこから地域診断する能力が弱くなってきていると感じます。そのため,人材育成の点では,キャリアラダーに基づき,個人・家族に対する保健指導能力とそこから地域の課題解決につなげていける診断能力を新人期・中堅前期にしっかり身に付けるための技術研修を強化していく必要があると考えています。
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