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保健事業の業務委託の状況―2013年度調査から
鳩野 洋子
1
,
森 晃爾
2
,
曽根 智史
3
,
柴田 喜幸
4
,
永田 昌子
4
,
前野 有佳里
1
,
小橋 正樹
4
1九州大学大学院医学研究院保健学部門
2産業医科大学産業生態科学研究所産業保健経営学
3国立保健医療科学院
4産業医科大学産業医実務研修センター
pp.694-698
発行日 2014年8月10日
Published Date 2014/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664102491
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はじめに
2004(平成16)年6月に閣議決定された「骨太の方針2004」における「官から民へ」の流れの中で,地方自治体の中には業務の委託の方向性を打ち出し,積極的に委託を進めるところもみられている。保健事業において2008(平成20)年に始まった特定健診・特定保健指導は委託を前提とした事業であり,厚生労働省のマニュアルの中でも委託する際の留意点が述べられている1)。
このような状況を背景として,2011(平成23)年に開かれた新しい「地域における保健師の保健活動に関する指針」に向けた検討会では,最終的な指針には盛り込まれなかったものの,保健師活動と委託との関わりについて討議された2)。検討会の中では,「事業を委託したら,その事業は自分の責任の範疇外と捉えているのではないか」「委託の仕様書の記載に保健師が関わることが必要」などの意見が出され,報告書では,保健師には委託の判断から始まり,委託事業の成果を地域診断や各種保健医療計画に反映するまでの一連の過程のそれぞれの場面で役割があることが述べられている。
しかし,このような議論の根拠となる保健事業の委託割合に関わる調査は,2004年3)以降実施されていない(2004年の調査結果の一部は『保健師ジャーナル』で報告した)4)。そこで今回,委託の実施状況や今後の委託に関する意向などを明らかにすることを目的として調査を行った。なお,この調査では,過去との比較を行うことで現状の理解が進むことを考慮し,可能な範囲で先行調査と定義などを一致させて行った。
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