連載 保健師のための行政学入門・15【最終回】
保健師という仕事は果たして永久不滅なのか?
吉岡 京子
1
1東京医科大学医学部看護学科地域看護学
pp.240-244
発行日 2016年3月10日
Published Date 2016/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200400
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
地区担当の責任
年度末である。毎年恒例,異動と退職が重なり,一抹の不安と寂しさが忙しさの中で綯い交ぜになる時期である。そして間もなくやってくる年度初めには,また新たなメンバーを迎える。
かつて新人看護師だった頃,先輩から「患者さんから見たら新人もベテランも同じ看護師なんだよ」と言われたことがある。病棟では最初に日勤帯に数人の患者さんを受けもち,慣れてきた頃に自分のチーム全体を夜勤で受けもつようになる。病棟は4つのチームに分かれており,私の所属チームは消化器外科に入院中の方を担当していた。役に立つようなことはほとんどできなかった新人時代だったが,患者さんのお話に耳を傾けることだけは何とかできた。病院という特殊な環境に入院を余儀なくされている患者さんが語る「家での日常の暮らし」は,私にとって地域で生活することの意義と重要性を強く意識するきっかけとなった。
Copyright © 2016, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.