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はじめに
山々が色づき始めた2015(平成27)年10月17〜18日,日本健康福祉政策学会の福島セミナーが開催されました。日本健康福祉政策学会(以下,本学会)では,2010(平成22)年11月に福島で,第14回学術大会「出会う・つながる・笑顔で飛び立つ―住民の願いや思いを政策へ」を開催しました。そのおよそ半年後に,東日本大震災が東北を襲いました。あれから約4年半が経過しましたが,いまだ先の見えない,帰還や廃炉の問題を抱えながら,新たな再生・復興へ歩みだしている現状があります。
今回,かつてのような大会開催は無理でも,「いまの福島を,見て,聞いて,語り合う場となる」ようにと,「福幸支縁ふくしまセミナー」と題するセミナーが開催されました。これは地元福島の理事や会員を中心に,2日間バスで福島県内各所を回り,現地のさまざまな方からお話を伺うというものです。本稿では,学会員として参加した私が見た「福島のいま」について報告します。
本学会は,「健康福祉の町づくり,政策づくりはボトムアップから。住民と行政,専門家が一体となって,暮らしの視点から政策を作っていく」ということをコンセプトに運営されています。今回のセミナーでも,仮設住宅の自治会長さんや統合失調症で被災された方といった住民の方々のお話をはじめ,支援者や専門職,行政など,いろいろな方からお話を伺いました。
2015年10月17,18日,日本健康福祉政策学会の「福幸志縁ふくしまセミナー」が,東日本大震災と原発事故で被災した福島県で開催された。参加者は期間中,福島県内の保健福祉,地域づくりに取り組む団体や施設を訪問し,職員や地域住民との交流と意見交換を行ったほか,通過のみが許可されている放射線量の高い地域を見学した。震災から5年目を迎える地域の回復,復興,新生に向けた取り組みを報告する。
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