連載 保健師のための行政学入門・11
なぜ家庭訪問の記録は後回しにされるのか?
吉岡 京子
1
1東京医科大学医学部看護学科地域看護学
pp.966-970
発行日 2015年11月10日
Published Date 2015/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200315
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「忙しい」が合言葉の保健師活動
保健師の皆様の中にも,「毎日忙しい」と感じる方は少なくないと思う。年度末や年度初めは人事異動があり,職場に慣れている人も慣れていない人も皆バタバタしている。そういうときに限って事件やトラブルが多発し,ますます忙しさに拍車がかかる。ちょっと落ち着いてきたかなと思うと暑い季節になり,次年度の計画を必死に立てている間に寒くなる。そうこうしていると年末になり,また年度末がひたひたと近づいてくる。
1年間があっという間なら,1日もあっという間である。時折,かつての職場におじゃまさせていただくことがあるが,朝9時前というのにほとんどの保健師は家庭訪問やケースカンファレンスなどで自席にいない。お留守番のように1人座っている保健師が,挨拶代わりに「今日は皆出払っていて,人が少ないんです」と言う。その間にも電話や窓口へ相談に来る住民はひっきりなしで,気づけばお昼である。午後に乳幼児健診が入っていれば,17時までほとんど身動きが取れない。外出先から戻った保健師たちも,常連さんが窓口に来たり,新たなケースが発生したりと,あちこちから「ちょっといいですか?」と呼ばれる。もしかつての職場の保健師活動を取材してくれたら,記者は「多忙な保健師,息つく暇もなし」という見出しをつけるに違いない。
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