連載 保健師のための行政学入門・4
なぜ上司は分厚い企画書を斜め読みして突き返すのか?
吉岡 京子
1
1東京医科大学医学部看護学科地域看護学
pp.340-344
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200150
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1枚紙にまとめる理由
行政で働いていると,文章を書くことが多い。病棟で働いているときに書いた文章と言えば,看護記録と退院サマリーくらいであった。しかも大体は定型文があり,書くことが決まっていたため,私の作文能力は非常に低いものだった。
以前,大気汚染による慢性呼吸器疾患の認定を受けた患者宅を家庭訪問し,その生活状況を調査するという仕事を担当していたことがある。4人の保健師で地区を分担し,毎日家庭訪問を続けた。毎日違う住民に会うと,その生活ぶりや家の様子は千差万別だったが,皆さん口々に「年1回の健診のときに面接してもらったほうがよいのに」「医療費の助成はありがたいが,家庭訪問を受けるために仕事を休むのは大変だ」と言っていた。ほかの3人の先輩保健師にこのことを話してみると,「私たちも同じことを言われるのよね。どうしたら今のやり方を変えられるのかしら」と言われた。この先輩の問いは,住民の要望にもとづくよりよいサービスをつくっていくにはどうしたらよいかについて,初めて真剣に考えるきっかけとなった。
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