連載 [事例集]新しい健康日本21へのヒント・23
介護予防による地域づくりに地域診断システムを活用―島根県における市町村支援の取り組み
森山 雄三
1
,
近藤 克則
2
1島根県健康福祉部高齢者福祉課
2千葉大学予防医学センター環境健康学研究部門
pp.334-339
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200149
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はじめに
2006(平成18)年度の介護保険制度の改正により,介護予防等を目的とした「地域支援事業」が創設され,市町村は介護予防事業や,地域包括支援センター運営などに取り組むことになった。
島根県としては,一定のテーマ設定により市町村担当者向け研修会を継続的に実施するなど,市町村の介護予防の取り組みを支援してきた。2012(平成24)年度の研修会では,介護予防事業の開始から6年が経過し,事業全体の効果を評価してPDCAに活かしたいという市町村担当者の意向を受け,東北大学大学院の辻一郎教授から事業評価のあり方について講演していただいた。
この考え方は同年に示された「第2次健康日本21」を踏まえた,県や市町村における健康増進の取り組みにおいても,継続的な施策評価や地域診断を行うことが,今後の施策展開には有効であるということと同じ視点である。
さらに,市町村全体としての評価に取り組む中で,より小さな単位で地域診断を行い,地域課題に即した介護予防事業を実施することが効果的ではないかということになった。
そこで,2013(平成25)年度は,日本福祉大学(当時,現・千葉大学予防医学センター)の近藤克則教授から,地域診断の結果を地域で共有し,住民自らが介護予防に取り組む,地域づくりとしての介護予防について講演していただいた。その際,具体的な診断方法として紹介されたのが,JAGES(日本老年学的評価研究)チームの「地域診断システム」であり,県内のほとんどの市町村がこの調査研究に参加した。
今回は,これまでの介護予防の評価に関する研修の取り組みから,この「地域診断システム」の活用までの動きを紹介する。
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