調査報告
オーストラリアのビクトリア州における母子保健サービス―生活上で生じる課題の早期介入の観点からそのシステムを学ぶ
名城 健二
1
1沖縄大学人文学部福祉文化学科
pp.324-331
発行日 2015年4月10日
Published Date 2015/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664200146
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要旨
オーストラリアのビクトリア州では,Maternal and Child Health Nurse(以下,MCHN)という母子保健専門の看護師が,出産直後から子どもが6歳になるまで,母子やその家族に対し,地域にあるMaternal and Child Health Center(以下,センター)で関わるシステムが機能している。MCHNの業務はガイドライン化され,子どもの発達や成長に関することだけに限らず,母親の身体面やメンタル面,ファミリーバイオレンス(以下,FV),家庭内の生活上の課題についてのアセスメントを科学的な根拠にもとづくチェックリストを用いながら早期介入している。これらの介入は,家庭内における生活上の課題の予防的な関わりになっていると考えられた。また,母子の置かれている育児環境を家庭内だけでなく,包括的に社会的観点からとらえている点は高く評価できる。
課題と考えられた点は,MCHNが多忙で気になる家庭を十分サポートできない,FVへの対応が難しくうまく関われないことがある,センターに勤務する職種がMCHNのみで,多職種とのチームアプローチが十分でないように思えたことであった。
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