活動レポート 住民参加型の保健活動・3
八千代市の母子保健活動
岩永 俊博
1
1国立公衆衛生院疫学部感染症室
pp.736-740
発行日 1996年10月15日
Published Date 1996/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901577
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母子保健推進員との話し合い
さて,八千代市では,母子保健活動の見直しを,地域での問題を捜し出し,それを解決していくという展開ではなく,まず地域の理想の姿としての目的を設定し,それを実現するための条件を考え,その条件を満たしていくために何をすべきかを明らかにするという展開方法でやっていこうと決めた.もちろん,それは簡単に決まったのではなく,それまで自分たちで感じてきたこれまでの活動展開への疑問や,新たに学んだ展開方法への期待を,職員間で話し合うことによって,とりあえずやってみようかという出発であった.
この展開では,まず,話し合いに参加している人たちが,それぞれのイメージする目的を,住民の暮らしの姿として表現し,それを出し合うところから始める.つまり,目的を抽象的な表現としてではなく,実現したい住民のより良い暮らしの姿として表現する.例えば,八千代市の母子保健では,「八千代に住む1歳から2歳の子どもとそのお母さんが,どんな暮らしができたらいいか」ということで,話し合いを始めた.ここで,「1歳から2歳の」と限定したのは,単にイメージを出しやすくするためで,他に意味はない.まず,保健センターの職員での話し合いが始まった.職員が4〜5人ずつに分かれ,それぞれに,八千代市での子どもと母親の姿を話し合い始めた.
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