FOCUS
大規模避難所のノロウイルス感染拡大を防ぐ―東日本大震災における福岡県の支援活動から
加藤 由美子
1
,
掛川 秋美
2
1福岡県北筑後保健福祉環境事務所
2福岡県保健医療介護部健康増進課
pp.992-998
発行日 2011年11月10日
Published Date 2011/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101735
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はじめに
3月11日に発生した東日本大震災から5か月が経ち,復興に向けた動きが本格化している。この東日本大震災は地震,津波による災害を招き,いまだ多数の行方不明者がいるという,過去に経験のない甚大な被害をもたらし,被災者の生活や心そして環境にまで大きな傷跡を残している。
とくに,福島県は地震,津波に加え原子力発電所被災による重複した災害を受け,地震発生後まもなくして発令された区域外退避命令により,住民は着のみ着のままの避難を余儀なくされた。当然,退避命令の区域内にあった役場も職員も避難しており,行政機能を復活させるのに計り知れない苦労があったこと,今も続いていることは言うまでもない。
福岡県は,福島県への支援において,2000名超の避難所で生じた100名を超えるノロウイルスの集団感染症対策にあたり,地元と他県から派遣の医療保健従事者と連携することで,感染症を収束させることができた。本稿ではその取り組みについて報告したい。
今後の災害時の避難所における健康危機管理に役立てていただければ幸いである。
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