連載 知っておきたい,これからのメンタルヘルス・6
人間ドックや特定健診におけるメンタルヘルス導入の意義
保坂 隆
1,2
1聖路加国際病院精神腫瘍科
2聖路加看護大学大学院
pp.542-545
発行日 2011年6月10日
Published Date 2011/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101628
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予防医学におけるストレスの意義
1953(昭和28)年に始まった生活習慣病検診はその後,「人間ドック」と名前を変え,医療保険がカバーしないにもかかわらず,あっという間に全国に広まっていきました。人間ドック受診者は現在では数百万人とも言われています。
日本人間ドック学会の調査では,2009(平成21)年に人間ドックを受けた人のなかで,すべての項目で「異常なし」および「軽度異常だが心配なし」であった人は約9.5%と,10人に1人を下回ることがわかっているそうです。人間ドック受診者で健康度が改善しない理由として,同学会では「専門学会の基準に沿った判定基準が従来より厳しくなった」とか,「反復受診者の割合が7~8割を占め,受診者の平均年齢が40代から50代へと移行し60歳以上の受診者も増えた」などを指摘していますが,「働き盛りの世代のリストラや経済のデフレ化などで社会環境が悪化し,ストレスが生活習慣の悪化につながっているおそれがある」ことも一因となっているそうです(日本生活習慣病予防協会ホームページより)。
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