特集 行政保健師の質の保証—卒後教育・CPD
行政保健師の卒後教育とCPD体制の現状と展望
岡本 玲子
1
1大阪大学大学院医学系研究科保健学専攻
pp.889-893
発行日 2016年12月15日
Published Date 2016/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208562
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研修体制は整いつつも受講や内容には課題
保健師の人材育成については,2000年代に入って盛んに保健師の専門能力明確化の動きがあり,それを経て平成19(2007)年度厚生労働科学研究では1),新任前/後期・中堅前/後期・管理前/後期それぞれで育成するコア能力と,各期に上がるために獲得しておく必要がある能力の要件が示された.現在,各都道府県では,一連の検討結果を踏まえて,人材育成ガイドラインの作成など体制整備が進められている.平成26(2014)年度の調査では2),47都道府県の階層別研修の実施割合は,新任期が97.9%,中堅期が93.6%と高く,管理期は85.1%とわずかに低いものの,概ね全国的に開催されている現状が示された.
しかし対象となる保健師がどの程度その研修に参加できているかは別問題である.例えばある県の昨年度の階層別研修の受講率は,新任期(毎年8割受講が目標)の2回研修受講が7割弱,中堅期の3回セット研修受講(5年で全員受講が目標の3年目)が累計で7割弱,および管理期の年1〜2回の研修受講(3年で全員受講が目標の3年目)が累計で8割弱であったと聞く.研修によって目標値になかなか達しない状況があり,現場が,多忙な日常業務を抱えながら,研修に参加する時間を確保することに苦慮している現状が見えてくる.
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