研究
精神障害者を対象とした保健師の家庭訪問に必要なスキルに関する検討
兼平 朋美
1,2
,
中本 厚子
1
,
西川 美智江
1
,
桐村 操
1,3
,
田村 尚子
4
,
安田 美代子
4
,
池村 伊津美
4
,
樋谷 智子
4
,
宮崎 博子
5
,
守田 孝恵
6
,
磯村 聰子
6
1岩国市健康管理課
2現・山口大学大学院医学系研究科
3現・山口県看護協会事業課
4岩国市介護保険課
5宇部フロンティア大学人間健康学部
6山口大学大学院医学系研究科保健学専攻
pp.134-143
発行日 2010年2月10日
Published Date 2010/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101336
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■要旨
本研究の目的は,精神障害者を対象とした市町村保健師の家庭訪問に必要なスキルを明らかにすることである。2005(平成17)年7~11月に行った初回の家庭訪問で,同意の得られた精神障害者32人の記録票を作成し,「家庭訪問の不安」「訪問後の気づき」「家庭訪問に必要な項目」を記述した。表現の適合性を検討し,家庭訪問に必要な107スキルが抽出された。訪問プロセスを事前,実施中,事後,全プロセスとスキルの内容を知識,意識,行動,いずれもに分類し,各々を対応させ,16カテゴリーの表を作成した。表現の妥当性を検討し,訪問前,訪問中,発展に分類した。
結果,訪問前はコミュニケーション・家族・ニーズの把握に関する不安,訪問後は,保健師仲間に助けられた等があり,家庭訪問に必要な43スキルが抽出された。訪問前のスキルは,疾患と治療の知識,制度や関連サービスの把握,訪問中には,生活の実態や言動,家族との対話から病状,人間関係の把握等であった。地域を対象とした保健師の家庭訪問スキルでは,精神障害者のみならず家庭訪問に共通するケースを大切にした関わりや家族支援,適切な間隔の訪問,組織での対応があった。
地域の住民とともに関わり,障害に対する理解を深めていける地域づくりに発展させる技術が必要である。また,保健師間のスキルアップ体制や情緒的サポートが必要である。市町村保健師の精神障害者を対象とした家庭訪問に必要なスキルは43スキルが抽出され,精神障害者の疾患や治療を考慮した技術,障害に対する理解を深める地域づくりに発展させる技術であった。保健師のスキルアップ体制,組織的な家庭訪問を実施できる体制整備が必要である。
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