活動報告
虚弱高齢者に対する転倒予防教室の効果―自己効力感が高まる住環境整備教室
谷口 奈穂
1
,
河野 あゆみ
2
,
岡本 双美子
2
1前大阪市立大学医学部看護学科
2大阪市立大学医学部看護学科在宅看護学分野
pp.1036-1041
発行日 2009年12月10日
Published Date 2009/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101307
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■要旨
虚弱高齢者に住環境整備に関する転倒予防教室を行い,その前後に聞き取り調査を実施した。そしてその教室参加による変化を,住環境整備に関する自己効力感とTinettiによる転倒自己効力感について検討し,転倒予防に関する自己効力感の変化を明らかにした。
対象者は大阪府のあるデイサービス利用者で歩行可能な高齢女性16人(87.5%が後期高齢者)である。転倒予防教室では,転倒の危険性と予防の必要性の説明,転倒しにくい玄関,廊下,居間における住環境づくりの実演やクイズを行った。
その結果,住環境整備に関する自己効力感は,12項目中教室前に「自信がない」と答えた割合が35%以上の「雨で濡れてもすべりにくいように滑り止めシートをしく」「靴は腰をかけて履き替える」「段差に目印をつけて目立たせる」「じゅうたんの端がめくれないように固定する」の4項目において,教室前後で有意差があった。また,教室前後での転倒自己効力感については,教室では直接取り上げなかった内容を含む,全10項目の合計点数にも効果がみられた。
以上より本研究では,虚弱高齢者に住環境整備に関する転倒予防教室を実施した結果,転倒予防に関する自己効力感の改善に効果があると考えられる。また,転倒予防教室の効果をみる評価方法として,自己効力感の変化を検討することの有効性が示唆された。
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