研究
地域在住の特定高齢者における複数課題条件下での障害物回避能力―転倒経験高齢者と非転倒経験高齢者との比較
山田 実
1
,
原田 真
2
1京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻
2神戸学院大学大学院総合リハビリテーション学研究科
pp.960-963
発行日 2009年11月10日
Published Date 2009/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101294
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■要旨
本研究の目的は,日常生活に近い複雑な環境下での障害物回避能力を,転倒経験高齢者と非転倒経験高齢者とで比較することである。対象者は特定高齢者30名(80.5±5.4歳)であった。
5m×5mの領域内にランダムに①から⑮までの番号のついた旗を設置し,その旗を①から順に⑮まで通過していくというtrail walking test(TWT)に障害物を付加したObstacle-TWTを実施し,障害物に対する接触の有無を検討した(複数課題条件下)。さらに,直線歩行路に設置した障害物に対する接触の有無も確認した(単一課題条件)。
結果,直線歩行路の場合には障害物に接触した者は一例もなく,Obstacle-TWTの場合には,転倒群で10/13例接触,非転倒群では0/17例接触と有意に転倒群で接触していた(p<0.0001)。
このことは,転倒は複雑な課題条件下で発生しやすく,複数課題条件下での障害物回避能力を強化することで,転倒を予防できる可能性を示唆した。
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