連載 ニュースウォーク・139
要介護認定基準を叱られて
白井 正夫
1
1元朝日新聞
pp.870-871
発行日 2009年10月10日
Published Date 2009/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101278
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「過ちて則ち改むるに憚ること勿れ」は,漢文の教科書で習った『論語』の一節である。いまの若者が論語をどう学習するのか知らないが,私の経験では何度も音読させられたので,ときに記憶の底からよみがえる。そして「過ちを改めざる,これを過ちという」と続ければ,あの孔子様も半世紀前の劣等生を許してくれることであろう。もっともこの年になって警句を持ち出すのは自戒のためではない。
夏の夜,NHKテレビの人気番組「ためしてガッテン」を見た。自宅介護の見直しがテーマで,「負担軽減のミラクル技」特集。いろいろな機能が衰えてベッドに横たわる高齢者を,介助者がうまく技を使って楽に車椅子に「移乗」させていた。ちょうど新介護認定基準の見直しが話題になっていた。テレビを見ながら場違いなことを考えてしまった。「移乗」の可否も問われるなら,このモデルさんは介護認定の調査でどう記入され,どう判定されるのか。
厚労省の「要介護認定見直し検証・検討会」は7月28日,4月に改定されたばかりの「新要介護認定基準」を大幅に修正し,10月から実施することを了承した。
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