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保険制度とは,被保険者に介護事故が生じた場合に,保障が受けられる制度である.介護保険制度では,被保険者が介護を必要とする状態が介護事故であり,要支援と要介護(1~5)の状態である.要介護状態とは,身体上または精神上の障害があるため,入浴,排泄,食事等の日常生活における基本的な動作の全部または一部について厚生省令で定める期間にわたり継続して,常時介護を要すると見込まれる状態である.要支援状態とは,身体上または精神上の問題があるため,厚生省令で定める期間にわたり継続して,日常生活を営むのに支障があると見込まれる状態であって,要介護状態以外の状態をいうと定められている.
要介護認定は,介護サービスの必要度を判定するものであり,被保険者の病状や重症度と要介護度とは必ずしも一致するものではない.また,高齢者の障害の程度や身体機能の程度を示したものでもない.介護認定はどれだけの介護が必要かを判断するものであり,「介護者の手間の程度」を表している.それゆえ,介護の手間を表す「ものさし」が必要であり,要介護認定等基準時間(以下,基準時間と略)がこの「ものさし」として用いられている.基準時間を推定するための基礎研究は1995年から開始され,特別養護老人ホーム,老人保健施設,介護力強化病院の各職員がどのようなサービスをどれくらい提供しているかを48時間にわたり調べた1分間タイムスタディのデータと,そのサービスを受けた入所・入院中の高齢者の身体機能や知的状態等のデータを組み合わせ,導き出されたものである.この結果をもとに要介護認定プログラムが作成され,平成11年度のモデル事業で検証作業が行われた.一次判定で用いられているコンピュータプログラムは,モデル事業において,調査結果の些細な変更が要介護度を変化させるなどの指摘を受け,修正が行われたものである.
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