研究
事例検討からみた幼児期の自閉症児とその家族における就学前のニーズの分析
堺 博美
1
,
中山 貴美子
2
,
高田 哲
2
1神戸市長田区保健福祉部健康福祉課あんしんすこやか係
2神戸大学大学院保健学研究科
pp.670-675
発行日 2009年8月10日
Published Date 2009/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1664101245
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
■要旨
本研究の目的は,幼児期の自閉症児とその家族の就学前のニーズを当事者の視点から明らかにし,就学前に必要な援助のあり方を検討することである。現在小学校に通っている自閉症の子どもをもつ母親2名に半構造面接形式によるインタビューを行った。面接後に作成した逐語録から,①発達障害児とその家族がおかれた状況,②家族の思い・考え,③家族や専門家などが取った対応について語られている文章を抽出した。次に,それらから自閉症児とその家族の就学前のニーズを導き出し,類似した内容ごとにカテゴリーを作成した。
その結果,自閉症児とその家族がおかれる状況は,「発達の遅れの発見と支援導入期」「就学前施設の検討・利用期」「小学校・学級の検討期」「入学準備期」「小学校入学後」の5つの過程と,発達障害が判明してから現在までに共通する状況である「児の発達障害により支援を必要とする状況」の6つに分類され,それぞれに特徴的なニーズが導かれた。「発達の遅れの発見と支援導入期」では障害の早期発見とその後の適切な支援,「就学前施設の検討・利用期」と「小学校・学級の検討期」では家族が児に適した施設・小学校などを選択するための支援と選択に伴う負担の軽減,「入学準備期」では学校生活を困難なく送るための児側と学校側の準備,「児の発達障害により支援を必要とする状況」では発達障害児支援体制の整備が必要とされていた。とくに就学前施設・小学校などの選択の際は,家族の負担が大きく,支援が必要であった。
Copyright © 2009, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.