あんてな
自閉症児の療育について
佃 篤彦
1
1厚生省児童家庭局母子衛生課
pp.61
発行日 1970年2月1日
Published Date 1970/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611203889
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最近,自閉症児に対する関心が高まり,その療育について行政的な対策が望まれていたが,このほど厚生省は自閉症児の療育について事務次官通達を出し,新しく自閉症児施設を開設することになった.
自閉症児に関する報告は米国の精神科医カナーにはじまるが,彼は1944年,幼少期におこった特異な病像2を示す精神病を早期幼児自閉症と呼び,分裂病圏に属するものと考えたが,同じく1944年,別個に研究を行なったオーストリアの小児科医アスペルガーは,これを精神病質としてとらえ,自閉性精神病質として発表した.しかしその対象とした自閉症状はカナーの症例と酷似している.現在小児に特の精神障害として,自閉性を主たる徴候としている児童を一般に自閉症児と呼んでいるが,従来は精神薄弱児として取扱われてきたものが多いと考えられるが,この方面の研究の進歩により,精薄児とは別の療育体系が望まれるにいたった.
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